刊行記念展をいたします
東日本大震災から10年目となる2021年3月11日から2021年12月までの間、私は福島県内各地をとりとめなく旅しました。この本は、その折の旅日記、ドローイング、写真、展示や鼎談の記録などで構成しています。
静岡県に住む私が福島県に向かい旅をしてまた戻ってくる、そんなことを何度も重ねた10年目の2021年でした。
そもそもの始まりは、震災直後に制作した新聞を鉛筆で黒く塗りつぶしたドローイングの着地点探しでした。10年を経て、あの作品の意味は変化したのだろうか。私は福島のことをどれだけ深く考えて来たのだろう。何を知っているのだろう。
そんな個人的で小さな問いから始まった旅でしたが、出会った人たちや見てきた風景がたくさんのことを教えてくれました。旅はいつでも旅人に思いがけない贈り物をしてくれるのでした。
この本で私と一緒に福島への小さな旅をしていただけたらそんなに嬉しいことはありません。(本書 はじめに より)
荒蝦夷は、仙台にある小さな出版社。震災のことや、東北の文化をめぐる書籍など出版されています。